小説『水晶玉の向こうに』 第7話 2025/02/01 11:58 Facebook에 공유 URL 복사 신고 小説『水晶玉の向こうに』 第7話翌日、麻衣は放課後の校舎裏で奏太を呼び止めた。「三浦くん、少しだけ時間あるかな?」奏太は驚いたように振り向いたが、すぐに小さくうなずいた。「もちろん、いいよ。」二人は校舎裏の静かな場所に移動し、麻衣は深呼吸をしてから口を開いた。「突然ごめんね。でも、どうしても伝えたいことがあって……。」奏太は黙って麻衣の言葉を待っていた。「私、三浦くんのことが好きです。」その告白は、麻衣らしく真っ直ぐで嘘のないものだった。彼女の目には迷いがなく、その勇気が奏太にも伝わっていた。奏太はしばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。「ありがとう、麻衣。正直に言ってくれて嬉しいよ。でも……俺には、他に好きな人がいるんだ。」その言葉に、麻衣の表情がわずかに曇った。「そっか……。それって、叶さん?」奏太は驚いた顔を見せたが、すぐにうなずいた。「そうだよ。俺、叶のことがずっと好きだったんだ。」麻衣は一瞬目を伏せたが、次の瞬間には笑顔を作り直していた。「分かった。正直に言ってくれてありがとう。私、告白できてよかった。」その場を去る麻衣の背中を見送りながら、奏太の胸には複雑な思いが渦巻いていた。一方で、叶は部室に一人でいた。麻衣と奏太が話している間、叶は心の中で落ち着かない時間を過ごしていた。「どうしてこんなに気になるんだろう……。私、何を期待してるの?」水晶玉を見つめると、そこには何も映っていなかった。答えを知ることが怖いのか、それとも本当に未来がまだ見えないのか――。その時、部室の扉が開いた。奏太だった。「奏太くん……?」