《うらなイヌッ!》第3.5章

《うらなイヌッ!》第3.5章

「……いないよ」

気づいたら、素直に答えていた。

悠斗はホッとしたように笑って、それから少し真剣な顔になった。

「俺さ、あのときのこと、ずっと後悔してたんだ。仕事を理由に、ちゃんと向き合えなかったこと……」

言葉を聞きながら、紗季はふと、あの犬のことを思い出す。

あの犬は、未来を占う力を持っているのかもしれない。

けれど、それがどんな未来になるかは、結局、自分で選ばなきゃいけない。

「……悠斗、私もあのとき、ちゃんと話せばよかったなって思ってたよ」

そう言うと、悠斗の顔がほころんだ。

「じゃあ……もう一度、やり直せる?」

返事は、少しだけ遅れてしまったけど。

「……うん」

そう答えたとき、窓の外を見たら――

あの犬が、満足そうにこちらを見つめていた。

エピローグ:うらなイヌ、導くもの

「なぁ、紗季。あの犬、どこの子なんだろうな?」

「うーん……分からない。でも、きっと運命の導き手なんじゃない?」

「……はは、なんだそれ」

悠斗が笑う。その笑顔を見て、紗季も微笑んだ。

その足元には、もう犬の姿はなかった。

でも――確かに、あの犬はいたのだ。

未来を占い、幸運を導く**「うらなイヌ」**が。

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