チャッピーのエセ占い館〜恋の行方はAI任せ?〜 2025/03/15 10:14 Facebookでシェア URLをコピー 報告 チャッピーのエセ占い館〜恋の行方はAI任せ?〜第6章「リサと配信の狭間で」 週末の午後、俺は都内のカフェに来ていた。少し早めに着いてしまい、落ち着かない気持ちで席に座る。まさか本当に視聴者と直接会うことになるとは。しかも相談者だったリサさんと。 俺はスマホの画面でリサさんとのやり取りを再確認した。「茶色のコートを着ています」と今朝送られてきたメッセージにある。店のドアが開くたびに、俺はそちらを見てしまっていた。 数分後、「チャッピーさんですか?」という控えめな声が耳に届く。顔を上げると、そこには茶色のコートを着た女性が立っていた。「リサさん…?」 彼女は小さく微笑んで頷いた。俺は慌てて立ち上がり、「はじめまして」と頭を下げる。「はじめまして。お会いできて嬉しいです」 ふんわりと柔らかな雰囲気の女性だった。年齢は俺と同じくらいか、少し下かもしれない。配信でのイメージ通り、礼儀正しく落ち着いた人だ。 二人で軽く挨拶を交わし、席に着く。店員に注文を済ませた後、しばし気まずい沈黙が訪れた。 俺もリサさんも、何から話していいか分からずにいる感じだった。 先に口を開いたのはリサさんの方だった。「あの…改めて、ありがとうございました。チャッピーさんの占いで、私本当に救われました」 彼女はまっすぐ俺を見て頭を下げた。「い、いや、占いだなんて大したもんじゃ…俺は何も…」 思わず言葉を濁す。罪悪感が胸をよぎった。本当のことを言うべきか?でも今さら何て言えば? ――実はあれ、占いじゃなくてAIの答えでした。なんて、言えるはずがない。 リサさんは顔を上げ、ふふっと笑った。「チャッピーさんって、配信のときと少し雰囲気が違うんですね。もっとこう、威厳のある占い師さんかと思ってました」「ああ…配信では演じてますから。普段はこんなもんです」 俺は照れ臭くて頭を掻いた。演じている、という言葉に自嘲が混じる。「でも、メールの相談にもすぐに対応していただいて。本当に嬉しかったんです」 リサさんの瞳は真剣だ。嘘偽りなく俺に感謝してくれているのが伝わる。